「カメラを止めるな!」

カメラを止めるな!

  • 菊地成孔が「最後にボロ泣きしちゃった」という作品はこういうものでしたか。みんなでもがく素晴らしさが詰まっていて確かに感動的。エンドロール(監督目線のメイキング映像)が圧倒的に爽やかで切なくて泣ける。
  • 副音声の主要キャストによるコメンタリーも面白かった。ゾンビ映画の主演女優の様式美としてのホットパンツ/タンクトップ/巨乳(作中作の時のみパッド入り)とか。
  • 一番笑ったのは「何これダサかっけー!カメラマン代わった?」のところ。若い世代同士で美学が共有されてるところがとても良い。
  • 主題歌を歌っている山本真由美は桂米八の娘とのこと。

「蜘蛛巣城」

蜘蛛巣城 [Blu-ray]

  • NHK-BSプレミアムで3月27日放送。黒澤明監督。1979年。
  • テンポが悪く感じられるところもありますが、黒澤明監督のマクベス@戦国時代という前時代的な重厚さ、今日得難い骨柄の大きさは感じられました。

三浦しをん「三四郎はそれから門を出た<新装版>」

([み]1-3)新装版 三四郎はそれから門を出た (ポプラ文庫)

  • 著作は全く読んだことがなかったのですが、「オシャレの追求に励むのは来世にまわし、今生では思うぞんぶん読書しようと思う」「世の中にこんなに本があるのに、顔なんか洗ってる場合じゃない」という新聞広告の惹句により入手。
  • 「筋金入りの活字中毒者」という割には作品のチョイスも書評もライトで食い足りなさを感じていたところ、「愛がほとばしるさまをご覧いただきたい」と著者が語る第6章「愛の唄」が俄然好感触。読んでみたいと思わせるもの多数ですが、中でも丸山健二「水の家族」は是非読みたい。
  • 「現在の恋愛至上傾向というのは、特定の『交情相手』を確保する、という意味合いもあるのだなと悟った」「『好きだよ』と言い『私も』と言い当たり前にセックスをするのが恋愛であると信じる人々」など、恋愛と性行為への視点がクール。

「男はつらいよ-翔んでる寅次郎」

男はつらいよ・翔んでる寅次郎 [DVD]

  • BSテレ東で3月23日放送。山田洋次監督。1979年。シリーズ第23作。
  • わざわざ追いかけて「おい青年、元気だせよ元気」と声をかけて飲みに行くのがまさに車寅次郎的言動で泣けますが、「つれぇところだな」と旅に出るのを思いとどまるのは予想外のパターン。
  • 「結婚式の日、お嫁さんの顔を見たら、見合いとは別の人だった」「しょうがないじゃないか、仲人に借金があったんだから」からのタコ社長「愛してるよ~」は意外な説得力あり。

高野秀行/角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」

地図のない場所で眠りたい (講談社文庫)

  • 「極夜行」が絶好調の角幡唯介高野秀行の対談。さらりと読めますが、早稲田大学探検部の馬鹿話の隙間にそれぞれの人生観や職業倫理が滲み出ていてしみじみと良い。
  • 「本当に王道の探検物語」と紹介されていたデイヴィッド・グラン「ロスト・シティZ-探検史上、最大の謎を追え」も手に入れたい。

「東京家族」

東京家族

  • NHK-BSプレミアムで12月3日放送。山田洋次監督。2013年。
  • 中嶋朋子もそれらしい雰囲気は出ていますが、美容院経営者の長女(=杉村春子)は当初キャスティングどおり室井滋がはまっていたのでは。
  • 長男の嫁(=三宅邦子)役、ややふっくらした夏川結衣のそこはかとないセクシーさが良い。
  • 今にしてみれば「家族はつらいよ」へのブリッジにしか見えないのですが、「この国」といった物言いは小津的世界から程遠いのではないかという違和感。