佐藤雅子 「季節のうた」

季節のうた (河出文庫)

  • 書店で見かけて、カヴァー写真の雰囲気の良さに思わず購入。
  • 父は海軍少将・竹内寛、夫は法制局長官・佐藤達夫というセレブ主婦。ですます調の品のある文章とハイセンスな内容に育ちの良さが滲み出ています。
  • その竹内寛。「軍人だった里の父は、行軍のとき、兵隊たちののどの渇きをいやすために、もう少し行くと梅の木があるはずだと言って、口につばをもよおさせたと申しておりました」というエピソードは三国志演義に出てきたような(梅林止渇)。
  • 各月の扉絵(植物図)は佐藤達夫によるもののようです。
  • 戦争で家が焼けた1ヶ月後に何日も焼け跡を探してワッフルプレートを掘り出した話、夫が憲法起草のため家に帰ってこなかったエピソードなど、意外な方面から歴史を感じさせるものもあって実に趣深い。
  • 「卵の殻のように薄い磁器の紅茶茶碗」というフレーズがものすごく印象に残りました。
  • びっくりしたのは茄子の砂利漬け。玉砂利と一緒に茄子を漬ける意味がよく分かりませんが、重しなんでしょうか。
  • 写真で見られる佐藤家の佇まいが非常に魅力的。長く手元に置いておきたい気持ちになりました。