御厨貴 「知と情−宮澤喜一と竹下登の政治観」

知と情 宮澤喜一と竹下登の政治観

  • 御厨貴「知の格闘−掟破りの政治学講義」読んだ直後に、次はこれだと興奮しつつ購入したもの。
  • 本人の語った内容と、他人の評した内容の乖離から読み解いていくというアプローチは刺激的で興味深い点も多くあるのですが、期待が高すぎたのか、深度・拡がりともに物足りない感は否めません。
  • 思うに、比較考量の材料を上記3冊に限定しているのが迫力不足の要因。3冊をベースにしつつもっと材料を広く採りつつ、より緻密に彫り込んだ結果としてヴォリュームが増えていれば望ましかった気がします。将来的な増補改訂版の発行が期待されます。
  • それでも、かつて田中角栄を裏切った竹下登小沢一郎に裏切られてなお理解を示す様、宮沢喜一の学識の高さと政治家としての非力さなどに覚える業の深さは他では得難い魅力。
  • オーラル・ノンフィクションの前作「後藤田正晴と矢口洪一の統率力」も読みたくなりますが、入手困難な模様。しかたなく、「情と理−後藤田正晴回顧録(上)(下)」、「政治の終焉」など、いくつか購入してみましたが、この勢いを保持したまま読めますかどうか。