門田隆将 「死の淵を見た男−吉田昌郎と福島第一原発の五○○日」

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

  • 少し前から興味があったものの、そのうち文庫化されるような気がして様子見をしていたアイテム。何かのついでについ勢いで購入。
  • 読むのはもう少し先になるかと思っていたのですが、産経新聞の吉田調書報道が実に圧倒的に刺激的(「逃げたと言ったとか言わないとか菅首相が言っているんですけども、何だ馬鹿野郎というのが基本的な私のポジション」「アホみたいな国のアホみたいな政治家」「あのおっさんがそんなの発言する権利があるんですか」「本店の問い合わせが多いんです。サポートではないんですよ。途中で頭にきて、うるさい、黙っていろと、何回も言った覚えがあります」「何をもってこの国は動いていくんですかね。面白い国ですね」)だったので、優先順位を大幅に飛び越えて着手し、一気に読了。
  • 過剰な色付けを排した記述に好感。全くその存在を知りませんでしたが、当時の経済産業副大臣原子力災害現地対策本部長の池田元久の当事者意識の稀薄さ(「政府がベントのことであまり前に出ちゃうと、東電の責任が薄くなってしまう。だから、ベントは、あくまで一義的に事業者の判断でおこなうべきなんだと、言ったんです」)は、当時の政権のあり様をまざまざと思い起こさせます。
  • 単純なヒロイズムのきらいはありますが、やはり心動かされる局面が多々あります。戦争と同じ構図だと思いますが、政治的立場や政策や戦略の是非はともかくとして、極限的な状況において、個々の人々の命を賭した行動には純粋に感動します。
  • 吉田調書も来月早々に公表となったようで、括目して待ちたいと思います。