村上龍 「55歳からのハローライフ」

55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)

  • 新刊に飛びつきはしないけれど、文庫になれば漏れなく買ってしまう程度にはW村上世代。
  • 新聞連載向けの戦略なのか、変に鈍くさいタイトルで、あまり期待もしていなかったのですが、これが存外面白い。55歳まではまだ間がありますが、先行きに大きな希望が持ち得ない状況の中でかすかな希望を感じさせる話には、感じ入るものがあります。
  • 「悪いのは周囲だと決めつけると、気持ちが内向きになるだろ。気持ちが内向きになると、これが恐ろしいことに、心身とも、内に籠もりがちになる」というのは自分への教訓のようで読んでいて辛い。
  • 横断的に登場する小道具として、コーヒー、紅茶、水等の飲み物が出てきますが、アイデア先行であまり効果的ではない印象。
  • NHKのドラマ化作品も観ておけばよかった。イッセー尾形主演の「空を飛ぶ夢をもう一度」とか特に観たい。