- 「作家の本棚」で桜庭一樹が「何かあったら持ち出す」3冊のうちの一つとして挙げているのを読んで以来興味があった井田真木子「プロレス少女伝説」。曰く「80年代の神取忍やクラッシュ・ギャルズブームの熱狂ぶりや、戦わなきゃいけなかったその当時の女の子たちってなんだったのか、というのを書いたすっごい面白いノンフィクション」。
- 全く別のコンテクストで、出版社を一人で立ち上げた女性というニュース(本よみうり堂)を読んでいたところ、その出版社(里山社)から本作が刊行されていることを知り購入。
- 文体のスマートさはあまりないですが、題材に躙り寄るパッションの濃厚さに気圧されます(「彼女の酒は、その電話とおなじように長かった」というのが何となく分かる気がします)。増田俊也「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」に似たものが感じられます。
- お目当ての「プロレス少女伝説」も面白かったですが、望外に感動したのが「同性愛者たち」。同性愛者の存在にここまでの生身のリアリティーを感じたことはありませんでした。
- 未完の絶筆「かくしてバンドは鳴りやまず」は荒削りで、らしからぬ凝った意匠も空回りしているように思われますが、それだけに思い入れが横溢していて、ランディー・シルツ「そしてエイズは蔓延した(And the Band Played On)」、ドミニク・ラピエール/ラリー・コリンズ「さもなくば喪服を」、ボブ・ウッドワード/カール バーンスタイン「大統領の陰謀−ニクソンを追いつめた300日」など、読みたい気持ちにさせます。
- 「温泉芸者一代記」や「ルポ十四歳−消える少女たち」なども機会があれば読みたい。