村上春樹 「職業としての小説家」

職業としての小説家 (Switch library)

  • MONKEYでの連載を何度か読んで面白いな、単行本になったら読みたいなと思っていたのですが、いざこうしてまとめて読んでみると意外に刺激が少なくて拍子抜け。
  • そもそも職業小説家のメソッドそのものに興味が持てないのもありますが、ですます調の架空の講演スタイルが文章の魅力を損ねてしまっていると思われます。
  • 自伝的な部分や具体的なエピソードはそれなりに面白いのですがヴォリュームは少なく、講演スタイルもあって全般的に平板な印象。含蓄や示唆の多かった「走ることについて語るときに僕の語ること」との違いが際立ちます。
  • 第8回「学校について」など、思想信条を語るとどうにも陳腐で退屈(しかも小説執筆とほとんど関係がない)。村上春樹の著作を読んで苛立ちを覚えたのは初めてかもしれません。
  • 本作とは無関係ながら、次号MONKEY(特集「古典復活」)は面白そう。忘れずに手に入れたい。