古泉智浩「ピンクニップル」

ピンクニップル

  • ジンバルロック」に続いて古泉智浩。著者曰く「エロマンガ作品集」で、「オレのこの醜く不潔な性器をその体内に受け入れてくださり、柔らかい肌や可愛らしい乳首をなめさせてくださった、奇跡のように心優しい女の皆さんに感謝とお詫びを込めて描いたマンガ」。
  • 中編「こころ」は「チェリーボーイズ」のスピンオフで、「以前に童貞として描いていた男を主人公に設定したため、セックスをする事が腹立たしく思え、どうにか主人公にセックスをさせない方向で物語を作るのが大変だった」とのこと。
  • なんといってもインパクトがあるのは中編「ピンクニップル」。もともとは採用原稿が掲載見込みが立たないため自費出版に踏み切ったものとのこと。「夜毎に猛る劣情に精神が蝕まれていくそんな時期に大島渚監督の『愛のコリーダ』という映画を見てビックリした。何しろ主演の藤達也がいい気なもんで、家庭を顧みず財産を食いつぶしながら愛人と好き放題セックスしているのにちっとも嬉しそうでも楽しそうでもなく、死んだような虚ろな目でニヤニヤするばかりで、そこには絶望以外何もないというような映画だった。精神の廃頽の極みのような凄まじいセックス映画で大変な衝撃を受けた」、「『愛のコリーダ』を下敷きに、ボンクラの若者を主役に据えて、舞台を田舎にして、全体的にせこくしたら……」ということですが、「愛のコリーダ」をベースにしてこれが出来上がるという特異な才能に驚愕。どん詰まりの閉塞感が堪えられない。