- 人生で初めて図書館の利用者登録を済ませ、さて何を借りようかと思ってまず思い浮かんだのが本作。
- ファニーなTシャツの数々が紹介されるのかと思いきや、重心はむしろそれぞれが語る半生記。サラッとしたものもヘヴィーなものもありますが、いずれ平凡な人生などないのだ、という人間賛歌、多様性の称揚に巧まずしてなっているところが素晴らしい。
- 他方で、半生記だけではなく、Tシャツ(とその写真)という横串が通っているところがリアリティがあって良いし、読み物としても飽きさせない。
- 有名な人も混じっている模様。気づいたところでは、劔樹人(あらかじめ決められた恋人たちへ)、吉本由美(東京するめクラブ)、上田愛(案山子家)、空山基(イラストレーター)、犬山紙子(負け美女)、ベッド・イン(地下セクシーアイドル)、安田謙一ロック(漫筆家)大竹伸朗(現代美術家)、村上春樹(小説家)。
- 愕然とするほどエクストリームなのはア・ベイジング・エイプTシャツの女性(東京都出身/48歳/求職中)。母の恋人と初体験~高校中退~パチスロの客に連れていかれた長崎でホームレス化~レンタルビデオ屋の客と平穏な5年間~別の男性とスピード婚・北海道移住~精神病院入退院~トヨタの彼と豊田市へ~東京でハプニングバー通い~猫町アンダーグラウンド隊長。「いまでも待ちを歩いていてナンパされたら、それがどんな男でも時間さえあれば100%ついていく」というのが凄い。
- ジョーイ・ラモーンとのTシャツ交換のエピソードが猛烈に感動的。音楽的な指向は全然違いますが、何度読んでも泣ける。
- 図書館初チャレンジなのに、購入して手元に置きたくなりました。最高にチャーミングな一冊。