三代目三遊亭金馬「三代目三遊亭金馬全集(10)」

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  • 図書館活用。収録演目は「転失気」「金明竹」「山崎屋」。録音日時不詳。サゲが古めかしい3本。
  • 「転失気」は「若手がよくやる。明朗に、また素直にやるとおもしろい噺」で「名人三代目柳家小さんがよく演じた」らしい。「花屋の前に隠居のところへ訊きに行って、貸してしまったからないと言われる件を入れるほうが丁寧だ」(京須偕充)とのことですが、このヴァージョンでは隠居ではなく花屋が貸してしまったという流れで、冒頭で「『ぶうぶうを屁とも思わぬいも酒屋』という川柳の説明を仕込んでおいてサゲを解り易くしている」。これぞ金馬というシャープさで楽しい。
  • 金明竹」も前座噺。「早口と鸚鵡返しが絶対条件だから、口慣らしの前座噺とされていて、今でも前座がよくやっている。一方、それを飽きさせずにおもしろくきかせるには一流の腕が必要で、この噺にはそんな二つの顔があるといっていいだろう。戦後の大看板では三代目三遊亭金馬、八代目春風亭柳枝がよくラジオできかせてくれた」(京須偕充)。「与太郎の馬鹿が移ってしまったような、おかみのボケ振りが聞きどころ」。
  • 目当ては九代目林家正蔵のフェイヴァリット「山崎屋」。「五代目、六代目三遊亭圓生に伝わるお家芸。サゲは五代目の時代だって骨董品だったに違いない。六代目も美しく、ありがたくきかせてくれた」「若旦那と番頭とのやりとりをはじめ、きかせどころは随所にあって、年功と練達の芸で表現されれば、ことのほかおもしろい」とのこと(京須偕充)。そこまで絶品とも感じませんが、序盤で若旦那が逆襲して番頭さんを籠絡するところなんか可笑しい。