- 期待していた五代目柳家小さんはストレートな芸談が中心で期待していたほど面白くなかった。「あっしは子供の自分に、自転車でひかれて、自転車があっしの腹の上に乗っかって、ひきっぱなしでいっちゃった。人力車が向こうのほうから来て、『このヤロー、待てえ』とあっしを人力車に乗っけて、ウワーッ自転車を追っかけて、とっつかまえて、文句言っている。『なんだった黙って行きやがるんだ』なんて言って。それだって、あっしとはなんの関係もない。そういうのが昔はいたんです」というのは素敵なエピソード。
- 「長屋の花見」に関する四代目小さんの教え「向こうへ行けば大勢人も出ているじゃねえか。人込みのなかで、がま口の一つや二つ、落っこっていねえこともないだろう。向こうへ行くと酔っ払いも大勢いるよ。それで、『兄弟』と言えば向こうで『兄弟でねえ』なんて言いっこないから、向こうも『兄弟』かなんか言うだろうから、『一ついこうじゃねえか』と、向こうの本物をついでもらって、キューッと飲んで、こっちの偽物をついで逃げちまえばいいなんてね。そんな淡い望みがあって、期待を持って行かなきゃ、それはダメなんだが、そのことを言わなくてもいいんだ」が「『ごらんなさい、酒柱が立ちました』(中略)は心から言わなければいけない。それでなきゃこの噺の値打ちがないんだ」が素晴らしい。
- 当時も、時代は変わってしまった、せせこましく慌ただしくなってしまったと嘆いていますが、スマホとSNSの時代になっても現役で生きてるんだから大したもの。