「男はつらいよ－寅次郎子守唄」

映画

ＢＳテレ東で７月４日放送。山田洋次監督。１９７４年。シリーズ第１４作。

下條正巳おいちゃん初登場。「なにしろ、このおばちゃん、子どもができなかったんだからな」とタコ社長に言われて、おばちゃんに視線を向けるシーンなどは、森川信にも松村達雄にもない下條正巳テイスト。

恋愛指南パターンはこれが初登場か。寅次郎の失恋が不自然だけれど、十朱幸代と上條恒彦の組合せがとにかく絶品。上條恒彦の泥酔告白（「本当に笑わないでください」）も翌日の昼休みに京成関までに会いに行く十朱幸代も良かった。

病院で博の無事を知ったさくらのホッとしたけど緊張が解けない表情にはゾワッとしました。「あてにしてるわ」と通帳を返すシーンも泣けた。倍賞千恵子凄まじい。

タコ社長「もう木曜日か」と寅次郎「まだ木曜日か」からの喧嘩も可笑しかった。

十朱幸代・上條恒彦パートが浮きがちなところ、冒頭と中盤とエンディングで登場する春川ますみが作品の一貫性に貢献。本当に浅草のストリップ出身とは知りませんでした。

新機軸はないけれども調和があってシリーズ中でも良い１作では。

昔は寒い冬に猫が残熱を求めて竈の中の灰に潜り込んでいたことから竈猫（かまどねこ）は冬の季語。「猫灰だらけ」はこれに由来しているらしい。