アレクサンドル・デュマ「モンテ・クリスト伯(1)~(7)」

モンテ・クリスト伯(全7冊セット) (岩波文庫)

  • かなり前に松岡正剛の千夜千冊他で関心を持って購入。
  • 序盤、謀略により逮捕~取り調べ~獄中の出会い~脱獄~財宝発見~モレル家救済~復讐開始までが、フランス革命史とも連動して、ワナワナと震えるほど面白い訳ですが、意外だったのはそこまでいってまだ全7巻中2巻の終盤ということ。
  • その後のチェンジ・オブ・ペースのローマ編のところでダレて年単位で放置してしまいましたが、フランスに入ってからは韓流ドラマばりの濃厚すぎる伏線が張り巡らされ(人物相関図がないと見失いそう)、徐々にヴォルテージを高めておいて、終盤は怒涛の復讐劇という長編連続エンターテイメントの華麗なるお手本。
  • 超大ヒット新聞連載小説なので連続テレビドラマや連載マンガのお手本になるのはむしろ当たり前。今でも漫画化されたり韓流ドラマ化されたりしている模様。
  • 「待て、しかして希望せよ!」の原文は「Attendre et espérer!」とのことですが、英語でいうと「Wait and hope!」ということなんだろうか。ちょっとゴテっとしているものの味わいのある訳。
  • 実在の事件をモチーフにしているというのも意外。デュマ自身の破天荒なエピソードの数々やデュマ3代の数奇な運命も興味深く、100分de名著のテキストや佐藤賢一のデュマ三部作も読んでみたいところですが、しばらくは読了の満足感でいっぱい。
  • モンテ・クリスト城に「デュマ自身も知らない人物が増え続け」たり「何年も居候したりする者も現れ」たりした(鹿島茂)というのも楽しい。現存しているようなので機会があれば行ってみたい。