「岬の兄妹」

岬の兄妹

  • 早稲田松竹で。片山慎三監督。2019年。
  • 東野幸治YouTubeで激賞(面白いと言うのは憚られるが面白い)していた片山慎三の監督デビュー作。
  • 妻に客をとらせる「お直し」、博打の借金で娘が身売りする「文七元結」等、(福祉のない)落語の世界ではままある話。
  • 「さがす」もそうでしたが、不必要に露悪的なのか不可欠な設定なのか判然としないところがある。
  • 港町(三崎)の風景や兄の佇まいが素晴らしい。ヤクザとの一夜の後、夜明けのシーンもきれいでしたが、マクドナルドを爆食しつつ窓のダンボールを剥がして部屋が一気に明るくなるシーンも印象的。
  • 困窮時の「何も出ねぇ」と空のプールでの「まだまだ出るぞ」という大便で描く鮮やかなコントラスト。これは陰惨なことになるぞと身構えたところで出てくるので「海の香り」「生きていると良いこともある」と合わせて脱力笑い。
  • ノーマライゼーション(障害者の社会参画)を描いていると言えなくもないか。福祉に繋がれない存在として描くなら警官という設定は邪魔では。
  • ラストに希望は全く感じなかった。冒頭に戻ったようでいてもう元には戻れないという不可逆性。
  • 映画館楽しい。早稲田松竹の来月のホン・サンス特集もいくつか観れると嬉しい。