古今亭志ん朝 「落語名人会(4)」

落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結」

  • 1980年代の録音ともなると、音質、言葉遣いともに非常に聴き易い。
  • 例によって京須偕充の解説を参照してみると、「この噺は、ブラックなアングルからやっては意味がない。いささか出来すぎの美談ではあるが、そのくすぐったさを感じさせないほどドラマに引き込むことが演者の器である」とのこと。
  • 古今亭志ん生三遊亭圓生林家正蔵(彦六)らの口演と比較しつつ、志ん朝の口演の特徴・工夫を解説したライナーも程ほどに充実しており、「可能性も期待も大きければこそ、なおさら慎重だったのか、人情ばなしに積極的に乗り出さなかった志ん朝が、満を持してついに放った観のある出来ばえで、それも、名作人情ばなし中の博士論文とされるものだけに、第一人者の席への関門突破を証明する、記念碑的な名演ともなった」とまとめられています。
  • 最初は古今亭志ん生に全然似ていないなと思いましたが、「ンとにもう〜」と言う時の声なんかは確かに似ています。
  • 数回聴く分には良いなぁと思えるのですが、ちょっと大ネタ過ぎて(1時間強)、あまり今後何度も聴きたくなるような感じでもありませんでした。もうちょっと淡々としている(らしい)柳家小三治が良かったかもしれません。
  • 古谷三敏「寄席芸人伝」の「甲府の小圓蔵」での決死の「文七元結」も印象的でした。中央公論新社はこの先、改版「寄席芸人伝」の刊行をどうするつもりなんでしょうか。老舗にも関わらず無責任な商売で呆れる外ありません。