古泉智浩「ピンクニップル」

ピンクニップル

  • ジンバルロック」に続いて古泉智浩。著者曰く「エロマンガ作品集」で、「オレのこの醜く不潔な性器をその体内に受け入れてくださり、柔らかい肌や可愛らしい乳首をなめさせてくださった、奇跡のように心優しい女の皆さんに感謝とお詫びを込めて描いたマンガ」。
  • 中編「こころ」は「チェリーボーイズ」のスピンオフで、「以前に童貞として描いていた男を主人公に設定したため、セックスをする事が腹立たしく思え、どうにか主人公にセックスをさせない方向で物語を作るのが大変だった」とのこと。
  • なんといってもインパクトがあるのは中編「ピンクニップル」。もともとは採用原稿が掲載見込みが立たないため自費出版に踏み切ったものとのこと。「夜毎に猛る劣情に精神が蝕まれていくそんな時期に大島渚監督の『愛のコリーダ』という映画を見てビックリした。何しろ主演の藤達也がいい気なもんで、家庭を顧みず財産を食いつぶしながら愛人と好き放題セックスしているのにちっとも嬉しそうでも楽しそうでもなく、死んだような虚ろな目でニヤニヤするばかりで、そこには絶望以外何もないというような映画だった。精神の廃頽の極みのような凄まじいセックス映画で大変な衝撃を受けた」、「『愛のコリーダ』を下敷きに、ボンクラの若者を主役に据えて、舞台を田舎にして、全体的にせこくしたら……」ということですが、「愛のコリーダ」をベースにしてこれが出来上がるという特異な才能に驚愕。どん詰まりの閉塞感が堪えられない。

古泉智浩「ジンバルロック」

ジンバルロック

  • オモコロに掲載された「君の名が」で気になっていた古泉智浩をいくつか読んでみることに。まずはデビュー作にして代表作をチョイスしたところこれが望外にヒット。
  • 何ら特別ではない凡庸で先の見えた人生で明るく足掻く感じが大変に好み。柄谷行人が「私はすこしも特殊ではない。私は自分がいかにありふれているかを知っている。それにもかかわらず『この私』は他のだれでもないと感じている」と単独性の問題を提起していたことが思い出されはするのですが、考えがうまく整理できない。
  • 「お茶すすってんじゃねーよ、幻想の世界で」「こんなところにオレより上のこと考えてるヤツがいた」「椎名林檎に謝りましょう」など、オリジナリティーが尋常ではない。

「男はつらいよ-寅次郎春の夢」

 

男はつらいよ・寅次郎春の夢 [DVD]

  • BSテレ東で3月30日放送。山田洋次監督。1979年。シリーズ第24作。
  • 寅次郎が娘の林寛子ではなく母親の香川京子に当然のように惚れるというのも違和感がありますが、禿頭の中年がさくらに惹かれるという展開も素直には入ってこない不自然さ。
  • 斬新なシナリオ以外にも、参道の反対側から撮ったとらや前のお見送りや早朝の上野のガード下での別れなど、画作りからも刷新の意欲は感じられます。

「選択5月号」

 

  • メモ
  • 米露がベネズエラで「サイバー暗闘」-反米政権を巡るハイテク攻防戦
  • 北朝鮮「体制転覆」に傾斜する米国-飼い犬「自由朝鮮」が狙うクーデター
  • 中国「危険鎮痛剤」輸出に悩む米国-現代版「アヘン戦争」死者二万人の恐怖
  • 天皇と安倍の「微妙な関係」-皇室の「反長州意識」は根深い
  • 「令和元年解散」は夏か秋か-消費増税「再々延期」で政権内の暗闘
  • 政界スキャン(411)-菅義偉は「首相の器」にあらず
  • 最低賃金「全国一律」を阻む官邸官僚-地方創生は名ばかりの安倍政権
  • 幻の「馬毛島」オーナー家の相克-防衛省「失策」で買収はまた頓挫
  • 大恥の日本「WTO逆転敗訴」-国際潮流を解さぬ政権の「外交音痴」

高野秀行「アヘン王国潜入記」

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

  • 高野秀行角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」からのチョイスその1。「『自分はあれを書いたのだ』と心の支えになるような仕事」「『誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白く書く』という(中略)約二十年間変わらない(中略)スタンスを最もハードに貫いたのがこの本」と本人が語る名刺代わりの一冊。
  • 「正面玄関じゃなくて、中央政府の支配の及ばない裏口から入って茶の間を覗いちゃうみたいな」(角幡唯介高野秀行の特性を高度に発揮。「周囲で生アヘンをやった人間を高野秀行以外に知らない」と船戸与一も語るとおり、中毒になるほどどっぷり浸かるところも持ち味。
  • 本人曰く「自分の体験した材料でなにが書けるかと思ったときに、宮本常一の『忘れられた日本人』を読んで、ああ、これなんだと思った。要するに民族誌を書こうとするからこんな絶望的な気持ちになるんだけど、生活誌の路線だったら書けるんじゃないかって」とのこと。
  • 序盤の軍幹部三人衆やアイ・スンの何気ないスナップ写真が読了後に見直すと儚くて泣かせる。そういう意味では「特典写真23点を追加収録」しているというKindle版の方が良かったかも。

「マッドマックス-怒りのデス・ロード」

マッドマックス 怒りのデス・ロード [Blu-ray]

  • 公開当時ものすごく盛り上がっていた記憶はあったのですが、こんな作品をNHKが放映してくれるとは。
  • 状況説明もキャラクター描写もなく、行って戻ってのカーチェイスのみで120分間を維持するのは、練りに練った設定を落とし込んだ鮮烈なヴィジュアル群。
  • ギャグ一歩手前まで攻めながらギリギリ失笑はさせないセンスの良さが勝因でしょうか。「ダサかっけー」の極み。

桜玉吉「伊豆漫玉ブルース」

伊豆漫玉ブルース (ビームコミックス)

  • 知らない間に出ていた桜玉吉の新作(本年1月刊行)。「伊豆漫玉日記」の続編。
  • 伊豆の隠遁生活が合っているのか穏やかに枯れた雰囲気が良い。「伊豆漫玉日記」では川崎長太郎が想起されましたが、本作では寺田寅彦が思い浮かびました。
  • あの画風の人は「秋竜山」という人だったのか!という発見。77歳にしてまだまだ現役の模様。

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