2008-01-01から1年間の記事一覧

「夢」

遺作から遡る黒澤明作品。「八月の狂詩曲」に続いて「夢」。 「こんな夢を見た」て、おじいちゃーん!と言いたくなりますが、夏目漱石「夢十夜」の様式とのこと。無理すれば美点もいくつかは挙げられるとは思うのですが、厳しいものは厳しい。 野口一等兵が…

魚住昭 「渡邉恒雄−メディアと権力」

「野中広務−差別と権力」に続いて魚住昭のノンフィクション。ナベツネ編。 意外なことに、共産党に入党前後までの鼻っ柱の強い青年期には好感を抱かずにはいられません。 正力松太郎の腰巾着に歯向かう本田靖春は素晴らしい。積んである「誘拐」もそろそろ読…

「八月の狂詩曲」

遺作から遡る黒澤明作品。「まあだだよ」に続いて「八月の狂詩曲」。 80歳になると何にインスパイアされるのか想像もつきませんが、単独脚本かつ17日間で書き上げたというのが明らかに悪い方に出ているペラペラ感。これは厳しい。 2000万円かけて集…

「アイス・エイジ」

引き続きHD整理。NHK−BS放送の「アイス・エイジ」。字幕ではなく吹き替えなのが残念。 どうということもないストーリー、特に魅力的でもないキャラクター。続編を作成する程ヒットしたとは俄には信じられません。 ピクサーでもドリームワークスでもな…

「まあだだよ」

NFLのプレイオフも近付く中、年末年始でHDレコーダーの中身を積極的に消化していくことが必要。 NHK−BSの黒澤明特集は、時代順に見ていくと後々苦しくなりそうなので、遺作「まあだだよ」から逆に辿っていくことに。 黒澤明入門のナレーターは井川…

桂米朝 「特選!!米朝落語全集(13)」

ちょっと上方もと思って手を出してズルズルと聴き続けてきましたが、取り敢えずここでいったん打ち止めにする予定。「骨釣り」と「まめだ」。 「骨釣り」は「野ざらし」の上方版。みうらじゅんも「やっぱ江戸前の『野ざらし』より、米朝さんの『骨つり』の方…

売払い

アーシュラ・K・ル=グィン「ゲド戦記(1)−影との戦い」 アーシュラ・K・ル=グィン「ゲド戦記(2)−こわれた腕環」 アーシュラ・K・ル=グィン「ゲド戦記(3)−さいはての島へ」 アーシュラ・K・ル=グィン「ゲド戦記(4)−帰還」 アーシュラ・K…

Sam Cooke 「One Night Stand! Live at the Harlem Square Club, 1963」

2005年リマスター盤のSHM−CD化ということですが、2005年リマスター盤を持っていないので、1986年初CD化盤からの買い換え。 音源的には冒頭の「ソウル・トゥイスト/イントロダクション(1分20秒)」の前半「ソウル・トゥイスト」部分…

「レコード・コレクターズ1月号」

メモ 「レココレ・アーカイヴズ4;ソウル・マスターズ」 Funkadelic 「Toys」 「アニメ浪曲紀行 清水次郎長伝:二代目広沢虎造 森の石松」 Blind Lemon Jefferson 「The Complete Recording」 Otis Redding 「Live in London and Paris」 Sam Cooke 「One N…

林望 「イギリスは愉快だ」

「イギリスはおいしい」に続いてリンボウ先生2冊目。 「戦場にかける橋」におけるアレック・ギネスの台詞(「It is a matter of principle」)は、将校は労役に就かないという階級主義的ともとれる主張と相まって、強力に印象に残っています。 エヴァーグリ…

「ゾディアック」

ツタヤの会員証更新の無料レンタルで。デヴィッド・リンチ「インランド・エンパイア」は179分で気合いが必要なので、今回はデヴィッド・フィンチャー「ゾディアック」。157分なので長さの点では大差ありませんが。 ロバート・グレイスミス原作のノンフ…

つげ義春 「つげ義春コレクション;李さん一家/海辺の叙景」

ちくま文庫のつげ義春コレクション、第3回配本。 「マンガの歴史を変えたつげ義春『ガロ』時代の幕開け」ということは初期作品ということなんでしょうか。リメイク作品など未読の作品も多く、ここにきて読み応えも出てきました。 「古本と少女」はレコスケ…

「悪い奴ほどよく眠る」

[DVD]" title="悪い奴ほどよく眠る [DVD]" class="asin"> NHK−BSの黒澤明特集。次は黒澤プロダクション第1作「悪い奴ほどよく眠る」。 冒頭の結婚披露宴で登場人物の相関関係を紹介する手法があの有名な「ゴッドファーザー」の冒頭シーン(「I believe…

京須偕充 「古典落語これが名演だ!」

前作「古典落語CDの名盤」は読了直後は全然ピンとこなかったのですが、結果的には最良のディスクガイドとなりました。 最初は、古今亭志ん生、三遊亭圓生、柳家小さんばかりでセレクションに疑問を感じたのですが、よくよく調べてみるとやはりそれだけの巨…

林望 「イギリスはおいしい」

リンボウ先生は1冊も読んだことがなかったのですが、初訪英(ロンドンだけですが)で俄然英国に興味が湧いたのでフラッとデビュー作を購入。 スティーヴンとのフランス旅行、コンプリート・アングラー・ホテルでのアフタヌーン・ティー、ルーズリーさんの結…

「どですかでん」

[DVD]" title="どですかでん [DVD]" class="asin"> NHK−BSの黒澤明特集。「七人の侍」に続いて「どですかでん」。黒澤明初カラー作品。 宮藤官九郎もブルータスの映画特集でパンクな映画として紹介していました。地面に家の影を描いちゃうなんてパンク…

都築政昭 「黒澤明と『七人の侍』」

NHK−BSの黒澤明特集に煽られて購入した「七人の侍」解説本。 他人の手帳やノートを見るのが好きなのですが、黒澤明の下手な字の汚いノートには笑いました。もちろん内容は非常に興味深いですが。 キャスティング絡みのこぼれ話が面白い。 土屋嘉男(利…

「選択12月号」

メモ オバマ「政権移行チーム」の凄み−政敵を主要人事に取り込む 「国家破綻の淵」さ迷うハンガリー−「東欧の優等生」がなぜ? 北朝鮮支える「闇の市場経済」−「餓死三百万」の十年前との違い 国際アジェンダ考(144)サブプライムに冷静だったカナダ−米…

「七人の侍」

[DVD]" title="七人の侍(2枚組) [DVD]" class="asin"> NHK−BSの黒澤特集の録画がHDレコーダーを圧迫。NFLの試合の録画に支障が出そうなのでまず「七人の侍」を。 昔見たときはとにかくセリフが聞き取れなくて閉口した記憶があるのですが、思ってい…

桂米朝 「特選!!米朝落語全集(15)」

何となく聴いておくべきという気になった桂米朝の十八番「地獄八景亡者戯」。桂米朝「私の履歴書」でも「一時間以上かかる長編はいくつかあるが、初めからしまいまでたっぷり笑わせられるスケールの大きい噺は他にない」と説明していました。 「閻魔の出御、…

桂米朝 「落語と私」

表紙の写真が若すぎます。人間国宝。 元々中学生、高校生を対象に書かれた物だけあって、全体的に軽めなトーンの中、「名作・駄作も演者しだい」で師匠・四代目桂米團治による二代目三遊亭円馬の「しの字嫌い」の解説を引用したりして、突如として濃度が上昇…

桂枝雀 「桂枝雀落語大全(01)」

もう一つ桂枝雀で何かと京須偕充「古典落語CDの名盤」を片手に検討した結果、「高津の富」と「つぼ算」を収録した第1集を購入。 同書では「ファンタスティックな口車が絶妙」と評されていた「高津の富」。冒頭の大ボラ(「嘘じゃありゃせん、ほんまじゃで…

上田文世 「笑わせて笑わせて桂枝雀」

桂枝雀の評伝。元々が新聞連載なので読み応えの点では不満が残りますが、「萬事気嫌よく」の色紙や枝雀六十番の直筆の演目表など、写真資料が多いのが素晴らしい。 「代書」の「門のところに大きな桜の木がビヤーッとありましてね、春になったらピャッピャッ…

Marvin Gaye 「Midnight Love (Legacy Edition)」

「ホワッツ・ゴーイン・オン」や「レッツ・ゲット・イット・オン」のデラックス・エディションのようには巷間話題にならなかったのでスルーしていた「ミッドナイト・ラヴ」のレガシー・エディション。「サタデーナイト・フィーヴァー」がきっかけで知ったハ…

魚住昭 「野中広務−差別と権力」

書店で見かけて気になったので購入。野中広務もすっかり過去の人になった様子ですが、こういうコッテリとした人も郵政解散以後めっきり減ってしまいました。 野中広務−小沢一郎(変節漢−悪魔)というカルマ深き政治家が繰り広げた政局を同時代人として拝めた…

高島俊男 「『週刊文春』の怪(お言葉ですが...2)」

引き続き入浴時読書専用。本巻はボシャっと湯船に落としてしまいました。ガビガビです。 オードリー・ヘップバーンの「ヘップバーン」とヘボン式ローマ字の「ヘボン」はどちらもおなじ「Hepburn」とは知りませんでした。 「明治タレント教授(お言葉ですが.…

「レコード・コレクターズ12月号」

メモ Jimi Hendrix 「Rockin' the USA Vol.1」 Jimi Hendrix 「Rockin' the USA Vol.2」 Tito Puente & His Orchestra 「Live at the Monterey Jazz Festival 1977」 Conjunto Rumbavana 「Colección Agrupaciones Bailables」

つげ義春 「つげ義春コレクション;大場鍍金工業所/やもり」

ちくま文庫のつげ義春コレクション、第2回配本。 自伝的な作品ばかり集めてあるなと思ったら、ちゃんと帯にそう書いてありました(「青年時代までの悲惨と滑稽を描くつげ義春自伝的作品群」)。 第1回配本「つげ義春コレクション;ねじ式/夜が掴む」の帯…

柳家小三治 「もひとつま・く・ら」

全体的に前作ほど面白くないのですが、内容というよりはテキストとしてのまとめ方の問題のような気がします。敢えてそうしたのだとは思うのですが、読み物としてはいささか雑駁。 という中では、落語関連の「Which is my way?(蒟蒻問答)」、「黒門町の『癇…

Jimi Hendrix Experience 「Live at the Royal Albert Hall 1969」

酷寒のロンドンでロイヤル・アルバート・ホールを眺めつつ、そういえばジミ・ヘンドリクスの「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」のカヴァーは格好良かったよなと思い出していたところ。 手持ちのは「ライヴ・エクスペリエンス(The Last Experience - His Fi…