京須偕充 「古典落語これが名演だ!」

古典落語 これが名演だ! (光文社新書)

  • 前作「古典落語CDの名盤」は読了直後は全然ピンとこなかったのですが、結果的には最良のディスクガイドとなりました。
  • なので同氏の「ガイド落語名作100選」なども購入して読もうと思っていたところ、「『古典落語CDの名盤』シリーズ第2弾!」として本書が出版されたので、一も二もなく購入。
  • 「癇癪」については、「終始一貫ハッピーエンドを予感させ続けたのが八代目桂文楽、どうなることかと恐怖感さえ抱かせて劇的にハッピーエンドにするのが十代目柳家小三治である」として選出されていますが、柳家小三治「もひとつま・く・ら」でも「癇癪」のエピソードが紹介されていました(「黒門町の『癇癪』」)。
  • 曰く「そこへいくってえと、文楽師匠のほうはまことに理路整然として、何が何してどうなって、どうなってこうなるからこうなる、ってなるほどそれは納得させられます。話術も見事なもんでございました。あまり見事にやられますってえと、そこから離れることがむずかしくなります。そンでその『癇癪』ていうのが、とうとうやりにくくて、しばらくやめてしまった。最後にやめた時期にここで『癇癪』をやりました。しばらくの間ほっといたんだ。ほっといたらね、何かのときにふわっと、自分で、あ、そうか、こうふうにやってみようって、ひらめいたことがありましてね。ひらめいて、自分なりのものができると、それをどっかで試してたくってしょうがない」とのこと。なるほど。
  • きっと本書も今後繰り返し参照することになるでしょう。