柳家小さん 「五代目柳家小さん落語傑作選 其の二」

五代目柳家小さん 落語傑作選 其の二 [DVD]   五代目 柳家小さん 落語傑作選 全集 [DVD]

  • 「五代目柳家小さん落語傑作選」全集DVDボックス。其の二は「宿屋の富」と「猫の災難」。
  • 「宿屋の富」(1979年)。京須偕充が「東京版『宿屋の富』のスタンダードは五代目柳家小さんで、追い込まれて嘘を言う心理が自然な芸で楽しめた」。「三代目柳家小さん(1857〜1930)が東京へ移した『宿屋の富』は今も柳家系でよく高座にかけられている。『宿屋の富』では、主人公が何日か逗留したあと、怪しまれて窮余の一策にホラを吹く。宿を出る時もこのまま逃げるつもりでいて、心中、宿の亭主に詫びる。つまり、東京版は性善説の人物像なのである」と解説するとおり、いきなり大ボラを吹きまくる上方版よりも展開が自然かも知れません。
  • しかしながら、「東京版も『うどん食って寝る』は温存した。江戸の蕎麦では、この場合笑いを生まない」との解説とは異なり、短縮ヴァージョンなのか、「二番の五百両が当たったら」の妄想パートが見当たりません。スッキリしては居ますが、少し寂しい。
  • 「馬喰町五百の明日が四十七」=日本橋馬喰町は足の便が良く、今日は本所馬喰町の五百羅漢に参詣し、明日は芝高輪の泉岳寺に四十七士の墓参りが出来るとの意。
  • 「猫の災難」(1989年)。引き続き京須偕充の解説によると「五代目柳家小さんと、それを個性的に継承した十代目柳家小三治が図抜けてすばらしい。主人公が起こされて一瞬事態をつかめず、『しばらくだったな』と言うおかしさは、ともに逸品だ。こういうところは未熟な演者だと様にならない。だんだんに酔っていく過程の表現もキャリアの浅い芸ではこなせない。気楽に聴ける噺だが、なかなかの大ネタである」とありますが、枯淡の境地、ともすれば落語の極北といった感がある中、素直に笑えました。
  • 「しばらくだったな」はともかくとして、一人でブツブツ言い訳しながら五合飲みきってしまう様が最高に面白くかつ可愛く、堪えられません。
  • 特典映像はNHK「ひるのプレゼント」より「柳家小さんの百面相」(1984年)。鍾馗〜大黒〜恵比寿〜ウサギ〜タヌキ〜姑娘〜タコの茹で上がり(約7分)。