Various Artists 「New Orleans Funk vol.2」

NEW ORLEANS FUNK Vol.2

  • 久々に店頭をフラフラと散策していて発見、シリーズ前作は好印象だったので無条件で購入。
  • 前作に引き続き、リーダブルでありながら非常に読み応えのあるライナーで、文屋章/吉田淳監修 「ニューオーリンズ・ミュージック・ガイドブック」を片手に、全文書き写しつつ熟読してしまいました(固有名詞のスペルミスが散見されるのが玉に瑕)。
  • ザ・デュー・ドロップというニュー・オリンズのクラブ(兼ホテル含レストラン)についてはよく知りませんでしたが、調べてみるとアイヴォリー・ジョー・ハンターがライヴ録音を残している模様(現在の名称は「デュー・ドロップ・ジャズ&ソーシャル・ホール」)。
  • エディー・ボー「フック・アンド・スリング」で必殺のブレイクを叩いたのはキャノンボール・アダレイホレス・シルヴァーとも競演したジャズ・ドラマー、ジェイムズ・ブラック。エディー・ボーは今年の3月に亡くなられたようです。
  • ネヴィル兄弟による初レコーディングは1954年、ザ・ホーケッツ名義での「マルディ・グラ・マンボ」(チェス・レコード)。
  • テキーラ」のオリジナルはザ・チャンプス(1955年)。作曲者はメンバーのチャック・リオ(本名ダニエル・フローレス)。なぜかザビア・クガートがオリジナルだとばかり思い込んでいました。
  • ファイアー&フューリー・レコードのボビー・ロビンソン(オーナー)とマーシャル・シホーン(セールスマン)が初めてニュー・オリンズに来たのは1961年、リー・ドーシーのレコーディングのため。ファイアー&フューリー・レコードが1963年に倒産した後、シホーンは1965年にアラン・トゥーサンとサンス・レコードを設立、リー・ドーシー「ライド・ユア・ポニー」が大ヒット。
  • 1970年5月17日、ワーデル・ケゼルグはキング・フロイド、ジーン・ナイト、ボニー&シェイラをマラコ・スタジオに集めてレコーディング、キング・フロイド「グルーヴ・ミー」(後にアトランティックが配給)及びジーン・ナイト「ミスター・ビッグ・スタッフ」(後にスタックスが配給)という2大ヒットが誕生。同日録音されたボニー&シェイラ「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」はキング・レコードから配給されたものの、残念ながらヒットには至らず。
  • 1972年リリースの「イェー、ユーアー・ライト、ユー・ノウ・ユーアー・ライト」はザ・ゲイターズの初リリース(自主レーベル、ゲイター・レコードからごく少数をプレス)。1974年、タービントン兄弟は、ビッグ・チーフのボー・ドリスと組んでワイルド・マグノリアスのファースト・アルバムを録音。同様に、ネヴィル兄弟は1976年、叔父のジョージ・ランドリー(ビッグ・チーフ・ジョリー)とワイルド・チャパトゥーラスを結成。
  • ダニー・ホワイトは全国区にはなれなかったシンガーながら、デヴィッド・ポーター/アイザック・ヘイズのプロデュースによるメンフィス録音も残している。収録の「ザ・トゥィッチ」はサックス・カリのプロデュース。
  • プロフェッサー・ロングヘアー「ビッグ・チーフ」の作曲者にしてヴォーカルと口笛もアール・キング、更に、この曲で言う「ビッグ・チーフ」は実は彼の母親のニックネーム。1970年代初め、トゥーサン/シホーンのシーセイント・スタジオで、アルバム「ストリート・パレード」を録音したものの、アトランティックからのリリースが頓挫したため、本作がシングル・カットされたのみ(アルバムは1982年にイギリスのチャーリーからリリース)。
  • 2曲収録のウォーレン・リーは、トゥーサンのプロデュース作品には珍しく、本人が作曲を担当。
  • ジョー・チョッパー&ザ・スウィンギング・7・ソウル・バンド「ソウル・プッシャー」は、ザ・ゲイターズ「コールド・ベアー」の殆ど完全コピー。ザ・ゲイターズの変名説あり。
  • G.デイヴィス&R.タイラー「ホールド・オン、ヘルプ・イズ・オン・ザ・ウェイ」は、ジョージ・デイヴィスとアルヴィン・レッド・タイラーが1966年に設立したパーロ・レコードがリリースしたシングル第2弾。因みに、シングル第1弾はアーロン・ネヴィル「テル・イット・ライク・イット・イズ」。
  • アート・ネヴィル「ボー・ディドリー」は、手持ちのザ・ミーターズの2枚組ベスト収録のホーンなしの音源に馴染んでいるので、どうにもホーン・リフが邪魔に感じられます(ヴァージョン違いの理由は不明)。バックはもちろんザ・ミーターズ(ザ・ネヴィル・サウンズから改名直前)。
  • 残念ながら、ライナー程には音源が面白くないというか、ネヴィル一派、アール・キング、リー・ドーシーらのビッグネームを筆頭に粒揃いの好曲・佳作ではあるのですが、「ニュー・オリンズらしさ」という点では食い足りない曲も多く、一抹の寂しさは否定できません。