レイモンド・カーヴァー「カーヴァーズ・ダズン:レイモンド・カーヴァー傑作選」

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

  • もう長いこと積みっ放しで日焼けとタバコで古文書のように黄ばんでいましたが、村上春樹 「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を契機に着手。何がきっかけになるか分からないものです。
  • 村上春樹柴田元幸「翻訳夜話」で読んだ際も全然ついていけなくて呆然とした「収集」ですが、本書における村上春樹の解説でも「難解」、「まああまり深く考え込まないように」とのこと。「いちおうリアリズムの文体で書いているけれども、物語自体には反リアリズム的要素が意外に強い」というのはこういうことなんでしょうか。
  • 「そのような主人公の浅薄さがというか、人間的な設定が、最後の感動的なシーンにつながっていく」という解説を読んで楽しみにしていた「大聖堂」は残念ながらさほどピンときませんでしたが、「ぼくが電話をかけている場所」とエッセイ「父の肖像」は好みでした。
  • 今すぐもっと読みたいという気持ちには今のところなっていませんが、「話がどこに行くかわからないというような、ナックルボール的な作品」とは、なるほどこういう世界かと納得。