Various Artists「Crossover to Modern Soul」

クロスオーヴァー・トゥ・モダン・ソウル(CROSSOVER TO MODERN SOUL) (帯ライナー付直輸入盤)

  • レコード・コレクターズ」の鈴木啓示のレヴューに興味を掻き立てられました。曰く「モダン・ソウルという言葉は日本でもようやくなじみとなってきたが、俗にクロスオーヴァーと称されるジャンルは市民権を得たとは言い難いだろう」とのことですが、「クロスオーヴァー」はおろか「モダン・ソウル」というのも全く耳に覚えがありません。
  • ソウル系のコンピレーションには今時点ではあまり関心がなかったのですが、これぐらい何も知らないジャンルだと逆に聴いてみたくなりました。いつも辛めの鈴木啓示が「内容的にはうなるしかないもの」「粒揃い」と絶賛していることもポイント。
  • 「要するにノーザン好きのイギリス人が60年代末あたりから好みのソウルに出会いながらも、それまでのノーザンとちょっと違うなあというので使い出したのが最初。揺れるような踊りやすい曲ということでは共通している」のがクロスオーヴァーで、60年代ノーザン・ソウル・ストンパーと70年代ディスコ・ダンサーをつなぐブリッジのようなものだそうです。足だけ生えたオタマジャクシのような微妙に半端な進化段階がクロスオーヴァー、と勝手に理解しました。
  • ソウル系コンピレーションが今の気分にマッチしないことには変わりはありませんが、そんな中でも印象に残ったといえば、冒頭エレクトシック・キャシミアーズの「ホワット・ダズ・イット・テイクス」。オリジナルのジュニア・ウォーカー&ザ・オールスターズ「ハートの合鍵」が「ヒッツヴィル・USA:ザ・モータウン・シングルズ・コレクション1959−1971」に収録されていたとは(かなり聴いたつもりだったのですが)全然気付きませんでした。改めて聴いてみましたが、ややもっさりしたオリジナルよりもカヴァーの方が好み。
  • 目玉はロックの「ペイシェンス」。「このフルートの響き、そしてギターのカッティング、歌、リズム、全てカンペキ」、「世界中のコレクターが血眼になって探し求めているリアル・フロアキラー」、「レアリティー、内容、ともに頭一つ抜きん出てるトップ・オブ・モダン・ソウル・ダンサー」、「持っていることさえキケン!というレベルまで達してしまったレコード」、「未来永劫語り継がれる、素晴らしいダンサー」とライナーでも熱く煽られているだけあります。逸品。