Shuggie Otis「Original Album Classics」

Original Album Classics

  • シュギー・オーティスのオリジナル3アルバム(「ヒア・カムズ・シュギー・オーティス(1969年)」、「フリーダム・フライト(1971年)」、「インスピレーション・インフォメーション(1974年)」)のセット。
  • 10年ほど前に再評価されていた頃から少し気になっていたところ、レコード・コレクターズ4月号の特集に触発されて試聴した「ストロベリー・レター・23」や「インスピレーション・インフォメーション」等が気に入ったため購入。
  • シンプルすぎるパッケージングですが、価格設定が1,955円とリーズナブルなこともあり、オリジナル・アルバム1枚を1ディスクに収録するスタイルも含めて、嫌いではありません(CDメディアに固執するつもりもないのですが)。
  • 「ヒア・カムズ・シュギー・オーティス」はジャケットの通り、ブルース・ロック中心の比較的ストレートアヘッドな内容。ローウェル・フルソン風にミーターズ風にフレディー・キング風等々、心楽しい内容ですが、1969年時点としても相当古めかしかったんじゃないかと推察します(冒頭「オックスフォード・グレイ」こそプログレッシブな展開ですが)。
  • 「フリーダム・フライト」は、「ストロベリー・レター・23」以外は全然引っかかってきませんが、件のレコード・コレクターズ4月号のインタヴューによると「セカンド・アルバムでは1曲だけ、一人ですべての楽器を演奏した。それが『ストロベリー・レター・23』だった」ということで、むしろ変化球としてやってみた「ストロベリー・レター・23」がうまくハマってしまったという形でしょうか。
  • やはりアルバムとして魅力があるのは「インスピレーション・インフォメーション」だと思いますが、これも件のインタヴューによると、「(その一人録音の『ストロベリー・レター・23』が成功したので)3枚目でも同じ路線の曲を入れたらどうかってみんなに薦められ、クリエイティヴな面を全部任せてくれるというからやることにした。正直言って、一人でスタジオに籠もってすべてをやるなんてしたくないよ(笑)」ということで、自分が本来的にやりたいことではなかった模様。
  • ファーストの古めかしさ/オーソドックスさも含めて、本質的にはジョニー・オーティス・ショー叩き上げのブルースマン/ライヴパフォーマーということなんでしょうか。
  • 更には「(“サイケデリック・ソウル”という言葉に爆笑しつつ)(中略)あれはどちらかといえば、むしろ半分レイドバックした作品だと思う」とのことで、サード・アルバムの世間的な高評価にもあまり関心がない模様。言われてみれば確かにサイケデリックというよりはパーソナルでレイドバックした雰囲気が魅力なのかもしれません。ラスト「ノット・アヴェイラブル」の緩いのに格好良い独特のフィーリングには参りました。
  • 有名な父(ギリシャ移民二世)を持ち、早熟だけど大成はせず、でもカルト的再評価の波が待っていたというのは、肩の力の抜けた、なかなか素敵な人生のように思われます。
  • 新作「ウィングス・オブ・ラブ」はどんなもんなんでしょうか。「インスピレーション・インフォメーション」との抱き合わせでなければ購入したのですが。