椎名誠 「活字たんけん隊−めざせ、面白本の大海」

活字たんけん隊――めざせ、面白本の大海 (岩波新書)

  • 「わが活字四部作」完結編。第1作「活字のサーカス」が1987年で、本作が2010年というロングラン。
  • 前作よりは話題に幅があって楽しく読み進められます。「クソ食う人々」(「動物の腸の中の物体はどあたりからウンコになるのだろうか」)や「大日本スリッパ問題」(「日本のスリッパはこうした外国の生活事情から入り込んできたのではなく、きわめて日本的な事情によってきわめて日本的に独自に発展したものではないか」)、「墓石の下から逃れるために」(「墓のむこうに高層ビルが林立している風景は、外国人の眼にはことさら異様に映ったらしい」)など、特に楽しかった。
  • この類いの雑学的な情報はインターネット上に溢れている一方、「ぼくはパソコンには近寄らないようにしている」と書いているように椎名誠の情報収集や発信のシステムが旧来型にとどまっているため、本人が面白いと思って紹介している情報と一般的な読者が面白いと思う内容に少しズレがあるような気もします。