早川義夫 「たましいの場所」

たましいの場所 (ちくま文庫)

  • ジャックスや早川義夫について知識も関心もなかったけれど、「誰かに悩みを相談するくらいなら、この本を繰り返し読んだ方がいいとさえ思っています。これは本当にいい本」という宮藤官九郎による帯の惹句に乗せられて購入。ネットでは買わないけど書店では買ってしまうというアイテムが確かにあります。
  • 基本的にはロック的なプリミティヴな美学からはみ出ないので、音楽論などはさほど面白くないのですが、赤裸々かつ率直な記述の魅力は分かるような気がしました。
  • ミュージシャン〜書店店主〜ミュージシャン(復帰)という遍歴も、実際には、不動産賃貸収入のある小金持ちのせがれの道楽に近いというのも、ガッカリするというよりはむしろ詫びた風情を感じさせます。
  • 特徴的なのは、それなりのヴォリュームを占める性的な事項に関する記述。他では求め得ない味があって面白かった。「一回だけ僕とやりませんか」の詩など(男性限定かもしれませんが)妙な訴求力があると思います。