伊丹十三 「日本世間噺大系」

日本世間噺大系 (新潮文庫)

  • 7〜8年前に読んだ時はそれなりな印象しかなく売り払ってしまった伊丹十三ですが、ここにきて思い起こす機会が増えたため、「ヨーロッパ退屈日記」、「女たちよ!」、「再び女たちよ!」を再購入・再読したところ、これが今まさにいちいちビシビシとツボに入り、物事にはタイミングというものがあると痛感。
  • 「私自身は−ほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない」という虚無感、「人間、いったんこういう現在を失った時間体系の中に生き始めたら、これは死に至る病というものである」という自省、「そういうすべてのものが、現在の、この瞬間、確かに存在しているのだと思うと、もう、いても立ってもいられない」という想像力と行動力など、ひしひしと胸に響きます。
  • その勢いで未読だった本作も購入してみましたが、そもそもコンセプトが違うので(自称「聞き書きは日本一」)既読の3冊と同種の味わいは求め難いですが、八瀬童子の話など純粋に興味深いものはいくつかありました。
  • 内田百輭やら寺田寅彦やら、エッセイもいくつか買い溜めてあるので早く読みたい。