リチャード・プレストン 「ホット・ゾーン−『エボラ出血熱』制圧に命を懸けた人々」

ホット・ゾーン

  • 昨年の世界的なエボラ出血熱の流行の際に「緊急復刊」されたところを、佐藤優が現代ビジネスオンラインでレヴューしていたのを目にして購入。
  • 紙面に妙な違和感があってなかなか読み始められなかったのですが、違和感の正体はおそらく左右の余白の少なさ(5ミリぐらいしかない)。些細なことですが結構な違和感です。
  • 著者本人が「ナラティヴ・ノンフィクション」と語るとおり、ストーリー仕立ての語り口が特徴的ですが、このスタイルがベストなのかどうか。個人的な好みからすると、レストンのバイオハザード作戦など、やや演出過剰に感じられました。
  • むしろ興味深く読めたのは本書前半部のエボラの歴史。「赤道アフリカの僻地で、小規模のアウトブレークを20数回引き起こした」が、「いずれの場合も犠牲者は比較的少数で、多くてもせいぜい数百人程度」で、「あまりに強力なため、村単位で住民を全滅させると、それ以上感染が広がらないとみられてきた」エボラ出血熱の、昨年の都市部を含む千人単位での流行がどれぐらいの危険性を持ち得るものか、今更ながらに感覚的に理解できました。
  • 考えてみると、単純な構造のウィルスというものが、ある生物種とは安定的に共生する一方で、別のある生物種には破壊的に作用するメカニズムが理解できません。どこかにわかりやすい解説はないものか。