高野史緒 「カラマーゾフの妹」

カラマーゾフの妹 (講談社文庫)

  • ずいぶん前に購入して、評判も良かったので楽しみにしていたところ。引越業者待ちや移動の時間に読もうと転勤前に読み始めることに。
  • いかに「十九世紀ロシアにはそういう思想(コスミズム)の流れがあって、ドストエフスキーも無縁ではなかったんですね。フョードロフの思想にドストエフスキーも興味を持っていたことは、研究で分かっています」と言われても、コンピュータ(階差機関)だのロケットだのが登場するとさすがに鼻白みます。
  • プロファイリングや多重人格を持ち込むアイデア、真犯人の謎解きなど、不自然でどうも腑に落ちない上に、文章の魅力も感じられず。公私にわたる環境の変化のせいもあるでしょうが、どうにもうまくのめり込めず、結局1ヶ月近くかけてダラダラと読了。
  • 石田衣良の選評「ミステリーとして読んでも、カラマーゾフ家をめぐるメタフィクションとして読んでも、帝政ロシアを舞台にしたスチームパンクSFとして読んでも、見事に面白い奇跡的な一冊」のうち、「見事に面白い奇跡的な一冊」を「なんだかピンとこない中途半端な一冊」に置換するとちょうどピッタリの感想になります。