井上雪 「郭のおんな−金沢名妓一代記」

廓のおんな: 金沢 名妓一代記 (新潮文庫)

  • 著作撰集に収録されていなかった井田真木子「温泉芸者一代記−湯河原の芸妓おかめさんの話しより」が読みたいなと何となく心残りだったところ、現代ビジネスの記事で辰巳琢郎が本書を紹介しているのを発見し、思わず購入。初版は1980年、昨年10月に新潮文庫収録。
  • 何となく飛びつきはしたものの期待したほどグッとくるポイントがありませんでしたが、反応してしまうのはやはり性的な事柄。「やりてばばが、黒っぽいもんぺのようなものを履き、男のさまをして事の運びを教えた。水揚げの十日ほど前から練習をさせられた」「ほんの一時間たらずの昆布巻き寝もした。昆布巻き寝というのは、着衣のまま抱かれることだ」「それらの客は、大阪人ならば松島などの遊郭であそびなれた連中で、ひと夜添う女たちに性の技をもとめた。女将たちはそのことを心得ていた。だから、そうした客の相手には、能率よく性を売る、いわゆる娼妓ではなく、ことの奥行きを測るかのように夜の技を身につけた、年期の入った芸者がえらばれた」などなど、リアルです。