横手慎二 「日露戦争史−20世紀最初の大国間戦争」

日露戦争史 - 20世紀最初の大国間戦争 (中公新書)

  • 転居の準備をしていて発見。こんなものいつ買ったんだという感じですが(2005年4月の初版)、司馬遼太郎坂の上の雲」を読了した今を逃すと永遠に読む機会はなさそうなので着手。転居またぎで落ち着かない中でなんとか読了。
  • 客観的で良心的な著作だとは思いますが、あまりに冷静、中立的で読み物として求心力に欠ける感もあり。反面、個人的な思い入れを前面に出したあとがき(「日露戦争と聞くと、すぐに司馬遼太郎の『坂の上の雲』を想いだす」)にグッときました。アレクサンドル・スヴェーチンの紹介も印象的。
  • メモ
    • 塹壕戦と機関銃の組み合わせ、情報と宣伝の利用能力、制海権の確保に関わる陸軍と海軍の連携など、ヨーロッパ諸国が第一次大戦で学ぶ戦争技術のほとんどが、明瞭に、もしくは萌芽の形で現れていた」
    • 「陸海軍を増強してさらに影響力を高めようとする軍部と、大衆の社会的圧力を背景にしてより欧米的な政治体制の確立を目指す政治家および言論人の対立が生じた。この対立構造は、1920年代まで日本の政治を規定することになった」
    • 「その後、日本とロシアの関係は、この『第二次日露戦争』の影響から抜け出せないままに今日まで来た。両国の間に残り続けている国境画定問題は、日露戦争にも深く結びついているのである」