「男はつらいよ-口笛を吹く寅次郎」

男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 HDリマスター版(第32作)

  • BSテレ東で6月1日放送。山田洋次監督。1983年。シリーズ第32作。
  • 再見。小林信彦が「おかしな男・渥美清」で曰く、「渥美清が最後のコメディアンぶりを見せた」「体調が一時的に良くなったのか」「映画の中でも浮き浮きしている。顔もふっくらして、気分が良さそう」「後期では『口笛を吹く寅次郎』が抜きんでている。極端な言い方をすれば、<面白い寅次郎>はここで終っている」「こうしたのりの良い渥美清を観るのは久しぶりである。寅次郎を中心に話が転がり、しかも変装までするという、コメディアンとして文句のない役どころ」「シリーズ初期の活気をとり戻した楽しい作品」「渥美清の<おかしさ>でも、シリーズのベスト5に入る出来」。
  • 寅次郎が最初から備中高梁にいて、喧嘩してとらやを飛び出す件がない代わりに、博一家が高梁に出向くという新趣向。タイトルロールの口上が「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又・・・」ではなく「大道三間 軒下三寸借り受けましての渡世、わたくし、野中の一本杉でござんす」。作中通して啖呵売もしない。
  • ヒョウ一郎(志村喬)の墓参り(「先生しばらくだな。俺だよ、寅だ。覚えてるか?」)は、第8作「寅次郎恋歌」第22作「噂の寅次郎」を思い出させて、とても良かった。