高野秀行「西南シルクロードは密林に消える」

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)

  • 高野秀行角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」からのチョイスその2。角幡唯介曰く「ものすごい衝撃」で、「『これは新聞記者なんかになってる場合じゃない』と思った」「高野さんの『高野色』がいちばん強い本」。
  • また、角幡唯介の「僕はまさに『ザ・探検』だと思うんですけど、高野さんはそうは思わないんですか」という問いに対し、高野秀行が「うーん、俺はあんまり思わない」「今、自分がいるところの方が近くなるわけだよ。その人たちの目線で物事を見るようになっていくから。そうなるともう、探検という感じはまったくしない」との応答に両者のスタンスの違いが端的に顕れていて面白かった。
  • 西南シルクロードがどうのこうのというよりは、中国からミャンマー密入国し、現地ゲリラとともにジャングルを潜行して北東インドに更に密入国してしまうという底抜けに破天荒な流浪の記録。その破天荒に比べて、記述が単線的かつ淡々としていて今ひとつ構成のメリハリ感に欠けるのも高野秀行らしさ。