石黒敬章「こんな写真があったのか-幕末明治の歴史風俗写真館」

こんな写真があったのか 幕末明治の歴史風俗写真館 角川学芸出版単行本

  • 図書館活用。小沢健志「レンズが撮らえた150年前の日本」がいまひとつだったので躊躇しましたが、これはテーマ設定と解説がしっかりしていてとても面白い。
  • 明治43年頃に丸の内の道路脇に設置されていた飲水栓が現在新宿東口にある(「みんなの泉」)というのも面白いし、獅子頭~龍口~蛇口という蛇口の歴史も面白い(ついでに調べたウィキペディア情報では、カランの語源はオランダ語の鶴)。
  • 写真を撮られると魂が抜かれるというのは聞いたことがありましたが、手が大きくなっちゃうというのは初耳(実際にみんな手を隠して撮られている)。かつて日本では手が小さいのが理想とされていて、写真で現実の手の大きさが見えないように隠したという背景分析も興味深い。
  • 明治19年に浅草寺五重塔の修復工事の足場に見物客を登らせたのが高所観覧の走りで、それを受けて吉田為吉という興行師が浅草6区に人造富士山を造って開業したのが翌20年(人造富士山の跡地が現在の浅草ROX)。大阪の木造高層建築(南の5階・北の9階)も興味深い。
  • 当時よく売れた女性の入浴写真がコラだった(一人の顔を美人に差し替え)というのも凄い。
  • 明治に29年の三陸津波の被害写真も見応えあり。