「ソウル・パワー」

ソウル・パワー [DVD]

  • 映画「アメイジング・グレイス」は絶対に劇場で観ようと思っていたのが4月(未だ観ていない)。関連して思い出したのが本作。劇場で観ようと思ったのがもう13年前とは。
  • 出演者が口を揃えて帰郷を強調していますが、「1960年代の公民権運動と共にピークを迎える、アフリカの音楽と北米のブラック・ミュージックがあえてアフリカで共演することでルーツバックするイベントは、こうして歴史的に見てもわかるとおり、融合するという意味においては成功していません」。
  • 「このあとブラック・カルチャーは1980年代に入ってテクノを吸収していき、ヒップホップの誕生まであと一歩という、1970年代ブラック・カルチャーの最後の姿を捉えているとも言えます」と言うとおり、1974年にB.B.キングやJBというのは旬は逃している感じ。
  • 退潮を感じさせるアフロ・アメリカン勢の中に入って目立つのがファニア一行。機内でも大騒ぎで勢いがある(ジョニー・パチェーコが格好良い)。「アフロ・アメリカンの力が少なくとも音楽的にいったん終息し、次にサルサという新しい音楽により、米国の特にニューヨークを中心にものすごい力をふるっていくことになるラテン・アメリカンの上昇という、ひとつの文化的な入れ替え」「これから文化的に注目されるという勢いのあり方が、アフロ・アメリカンとまったく違う」。
  • 映画ではJBが大トリですが、ライナー記載のプログラムを見ると最終日の大トリはファニア・オールスターズ。初日のトリがJB。二日目のトリがB.B.キング。このプログラムが間違っているという情報もあり。
  • タブー・レイ・ロシュロー(アフリーサ・アンテルナシオナール)の映像がハイライトでしょうか。「レア盤のレコードでは耳にしたことはあるけど、動く映像を見るとこんなにものすごいのかと思います。単純に、連れているダンサーが想像を超えてセクシーで呪術的で、トランスがあって気絶して、触ることで蘇生してというような、放送禁止すれすれの映像」には度肝を抜かれました。フランコ&TPOKジャズがいきなり「ああ私はもう終わりだ、呪われた薪を触ってしまった」と歌い出す異文化感も凄い。
  • 「とにかく動いているタブー・レイ・ロシュローとフランコ&TPOKジャズの映像は非常に貴重で、おそらく好事家からは全長版の要望が出るはず」「この音質とこのカメラ数で撮っているんだったら、相当いいものが残っているだろうという気持ちにさせる」訳ですが、いまのところ映像作品はリリースされていないのでは。「ザイール74-ジ・アフリカン・アーティスツ」という2枚組CDはある模様ですが。
  • 特典映像も充実(「ムード歌謡のようなものにジミヘンみたいなギターが入ったり、途中になんの脈略もなく京唄子さんみたいな人が歌いだしたり」)。あのザイールのジミ・ヘンドリクスはアブンバ・マシキニで京唄子がアベティ・マシキニ。姉弟らしい。

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