若林正恭「ナナメの夕暮れ」

ナナメの夕暮れ (文春文庫)

  • 第1章の連載が2015~2018年、書き下ろしの第2章を加えて単行本化したのが2018年。結婚とオールナイトニッポン10周年(武道館)が2019年で文庫化が2021年。
  • 「随分とバランスの悪いエッセイ集」、「軸が見当たらない」、「青年とおっさんの狭間の不明瞭さが全体を覆っている」という本人評のとおり、調子が出ない感じではあるものの、単行本書き下ろし、文庫本書き下ろしとジワジワと味が出てくる。
  • 武道館でのイタコの漫才に至る流れが予想外に感動的だった(「理解者がラジオを聴いてくれている時の”二人の感じ”を、煮詰めて凝縮したようなネタが作りたい」)。
  • 「5年後や10年後を見越した話がとにかく減った。未来の話より、今ここの話をおじさんはするのだ」というのはよく分かる。「『いつか』なんて無い」という未来の可能性がみるみる減ってくる切実さと表裏。
  • 「人生のほとんどは”合う人に会う”ってことで良いんじゃないか」というシンプルな達観が良い。来年の東京ドームではどんなネタをやるんだろうか。行きたい。
  • ブッダ・ブランド「Ill伝道者」(「1・2・1・2、カウント2で貫通、脳内出血、確実」)を試聴してみたら格好良くて音源が欲しくなった。映画「ムーンライト」も面白そう。