「ゲンロン14」

ゲンロン14

  • 冒頭の荒俣宏鹿島茂のコレクター談義が濃厚で可笑しい。荒俣宏が「知とは情報ではなく物量なんですよ。質や検索性よりも、山のように『積める』かどうかが大事なんです」と論ずれば、鹿島茂が「わたしが集めているのではなく、集めさせられている。その境地に至るのが大切です」と語る。
  • ウクライナもまた突き進んでいくであろう「犠牲者意識ナショナリズムの罠」を回避する道はあるのかという問題提起は興味深い(東浩紀「声と戦争」)。
  • 豊田有「ベニガオザルの社会から考える『平和』」も面白かった(「『平等主義』と聞くと、それは平和で良いことであるかのように思えるかもしれません。しかしながらそこでは、専制主義的な社会のように、社会的順位の明確化による無用な争いの抑止が機能しません」)。
  • 年2回刊行化で薄くはなったものの、ヴォリュームの減以上に読み応えに寂しさを感じる読後感。「観光客の哲学増補版」や「訂正可能性の哲学」が控えている事情もあるのか。