山田宏一「増補:友よ映画よ-わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」

増補 友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌 (平凡社ライブラリー)

  • 小西康陽 「僕は散歩と雑学が好きだった。小西康陽のコラム1993−2008」収録の「表現すること以外に世界とコミュニケイトする方法が見つからずにいる-若くて絶望した人たちに。」(=本書の解説)を読んで気になった作品(もう14年前。絶句)。「大人は判ってくれない」を観てハッときた今こそまさに読み時。
  • 「断続的な思い出を脈絡なくたどっていく」と本人も語っているとおり行き当たりばったりな感じはあるものの、ヌーヴェル・ヴァーグのど真ん中にいた日本人がいて、瑞々しく思い出を書き記していたという僥倖。渦中にいた人にしか語り得ないエピソードの数々。
  • 第23章「奇跡の映画を作った男」で紹介される2人のプロデューサー(ラウル・レヴィとジャン=ピエール・ラッサム)の人生の強烈さも印象的だった。
  • 金井美恵子「好きなもの」という新聞記事の切り抜きが挟んであった。曰く「『友よ映画よ』の哀切極まりないラストの名場面の後に、まだまだ様々な登場人物たちの人生も映画も続くのである。」