- 目黒シネマで。クエンティン・タランティーノ監督。2019年。171分のエクステンデッド・カット。
- 「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年)で興味を失ってしまったのか、「ヘイトフル・エイト」(2015年)以降は未見のクエンティン・タランティーノ。目黒シネマで上映されているのを発見していそいそと。
- 山もなく谷もなく、明瞭なストーリーもないけどつまらない訳でもなく、それでも観させる力量を楽しむのがメインなのか、大オチまでの丁寧なフリにすぎないのか、あの火炎放射器は笑えばよいのか。作り手側は楽しそうではあるものの観ている方は訳が分からない。
- そもそもデビュー当初から無意味で不必要だけど魅力的なパーツとそのセンスある組合せで魅せてきた監督ではあるものの、アル・パチーノのキャラクターの必要性やマンソン・ファミリーに魅力的な架空のキャラクター(プッシーキャット)を配した意味、劇中劇の長さや多さ、スパーン牧場で緊張感を引っ張る演出の効果など、どうしてもモヤモヤと気になる。落ち着きが出てきただけにむしろ必要のなさが目立つというか、リズムと勢いで振り切れていないというか。
- プッシーキャット=マーガレット・クアリー=アンディ・マクダウェルの娘。スクィーキー=ダコタ・ファニング=「アイ・アム・サム」の子役。フラワーチャイルド(直前に襲撃から抜けるファミリー)=マヤ・ホーク=ユマ・サーマンとイーサン・ホークの娘。
- レオナルド・ディカプリオとマーゴット・ロビー=「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のベルフォート夫妻。
- 音楽の使い方も、さすがに「ヘルター・スケルター」を使うようなベタは回避するものの、1969年縛りのためか目の覚めるようなチョイスはなし。ウェイン・コクラン&ザ・C.C.ライダーズ「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」のルックスは笑えた。
- 山田宏一「友よ映画よ」に出てくる1968年5月のカンヌ映画祭でのロマン・ポランスキー夫妻の描写が妙に鮮烈。曰く「ポランスキーは小男だったので、シャロン・テートのほうが頭ひとつ高い感じであった。シャロン・テートの超ミニの黒い薄いワンピースの着こなしが強烈にエロチックであったが、みんなのまえでわざとポランスキーが彼女のお尻を手で撫でさすったりすると、下着をつけていないことがわかった」。
- ブラッド・ピットは老けてもとても格好良い。なんてことのないストレート・ジーンズがやたらと格好良かった。
- なんのかんのいっても「レザボア・ドッグス」(1992年)と「パルプ・フィクション」(1994年)の斬新さにリアルタイムで吹き飛ばされた世代なので、「ヘイトフル・エイト」(2015年)も観たいし来るべき引退作も観たい。