- 数学の世界も棋界以上に数奇な人格・人生のショーケースで心躍ります。ポール・エルデシュ、ジョン・フォン・ノイマン、シュリニヴァーサ・ラマヌジャン。凡庸とは程遠い。
- 単行本の副題の通り「ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで」。アラン・チューリングの悲惨な死、谷山豊と志村五郎の友情、エヴァリスト・ガロアの苛烈な生涯等々を挿みつつ、ひたすらアツく語られる数論の歴史。
- そもそも素材が面白過ぎるのに加えて、サイモン・シンの手並みも見事。基礎的な部分は数学の面白さをキッチリと説明、ちょっと難解な部分はレトリックで説明、はっきりと難解な部分は潔く説明を省いてスピード感で読ませるという。
- 楕円方程式とモジュラー形式の辺りから詳細は理解不能になってくるにつれて読み物としてはどんどん盛り上がり、コリヴァギン=フラッハ法と岩澤理論の組合せなど全く理解していないにも関わらず感動してしまいます。
- 宮岡洋一の胸の内が気になってしょうがありませんでした。