ガブリエル・ガルシア=マルケス 「百年の孤独」

百年の孤独

  • 絶好の読書シチュエーションのために取っておいたら、いつのまにか新訳が出てしまった「百年の孤独」。帯に虚しく踊る「全面改訳新装決定版」の文字(1999年時点での新訳)。
  • と思ったら「新訳」ではなくて単なる「新装」、かと思ったらそうでもなくて、チョコチョコと手を入れた「改訳」ということらしいですが、いずれにせよサッサと読むことにします。
  • 目眩くレアリズモ・マヒコの大波小波にザップンザップン揺られ揺られてもうグッタリ。確信していたとおり素晴らしい。
  • 曰く形容し難い作品ですが、「要約などは徒労としか思えない無数の挿話がからんでいるが、この小説は詰まるところ、村から市へとふくらんで、やがて蜃気楼のごとく消えるマコンドを主たる舞台に、苦難のたびの果てにその建設に当たったホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアラン夫妻に始まる一族の歴史を、いずれもガルガンチュワ的な奇矯な子女をめぐって起きる奇態な事件のすべてとともに、リニアーな時間の流れをほとんど踏みはずすことなく記述したものである」とは流石訳者、上手いこと言うものです。
  • こんなウニョウニョした作品が爆発的に売れたというのだから、ラテン・アメリカの感覚は理解し難い。テレノヴェラ的咀嚼なんでしょうか。
  • 勢いで既刊の「コレラの時代の愛」「わが悲しき娼婦たちの思い出」「落葉・他12篇」も注文。読むのが何時になるのか分かりませんが。
  • この後、「族長の秋」(4月)、「悪い時」(6月)、「愛その他の悪霊について」(8月)、「迷宮の将軍」(10月)、「予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語」(12月)、「語るための人生」(2008年)と刊行予定ですか。
  • 文庫化するのであれば、ということで1999年に新訳を出したのに、未だに文庫化されていないのはどういう理由なんでしょうか。同じ新潮社でも、ナボコフ「ロリータ」の新訳など、あっというまに文庫化されたのに。
  • しかし、作者本人が言う「四十二の矛盾」「六つの重大な誤り」って何なんでしょうか。全てを知りたいという訳ではありませんが、気になるといえば気になる。