ガブリエル・ガルシア=マルケス 「落葉 他12篇」

落葉 他12篇

  • 着々と積み上がっていくガルシア=マルケス。2ヶ月に1冊は読まないとストックが増える一方なので、「愛その他の悪霊について」の発売前に1冊なりとも消化しようというあまり前向きではない意図により初期短編集を選択。
  • いかにも若書きといった感じの初期のシュールな短編が続いた時には投げ出そうかと思いましたが、マコンドものがでてくると流石に気合入ります。

  • とはいえ、「落葉」も構想にテクニックが追いついていない感じ。「町中の敵視と中傷にさらされたまま流れ者だった博士は死を選んだ。博士をかばい続けた老大佐、老大佐の娘、娘の息子。博士の棺を前にした彼ら三代、三様の独白が浮かびあがらせるのは束の間の繁栄、永遠の荒廃、マコンドの町が演じてきた悲喜劇」と帯に書いてあるとおりの内容なのですが、恐ろしいほど理解し難く、かつ、あの呪術的なグルーヴも感じられないので、本当に投げ出したくなりました。

  • というのはあくまで「百年の孤独」を読んだ後の感想であって、「先に『百年の孤独』を読んでからそれまでの作品に出合えば、読者は試作を読んでいるような印象を受けるのではないか」とガルシア=マルケスが危惧するとおりであり、かつ「彼は後年、若書きの作品である『落葉』が多くの点で手法上の未熟さを免れていないことを認めている」と解説にあるとおりな訳ですが。
  • 突如として「百年の孤独」という怪物的作品が生まれ落ちたわけではないことはよく分かりました(分かりたくなかったという気も若干しますが)。
  • というのも、「だが、書かれた順に読めば、作品ごとの発展や、全体がひとつの問題に迫ろうとしていることに気付くはずだ」というガルシア=マルケスの指摘どおりなのかもしれません。

  • 書かれた順によむのならば、次は「悪い時 他9編」ということになります。