古今亭志ん生 「なめくじ艦隊−志ん生半生記」

なめくじ艦隊―志ん生半生記 (ちくま文庫)

  • 古今亭志ん生の自伝というと昭和31年(1954年)の本書と、昭和49年(1974年)の「びんぼう自慢」がともにちくま文庫から出ていますが、取り敢えず先に出た方から。冨田均「聞書き・寄席末広亭−席主北村銀太郎述」と平行して読み始め、先に読了。
  • 江戸と地続きな典雅な話題や破天荒なブルースマン的エピソードが色々出てきますが概ね当初の想像の域内。
  • ただでさえスローなショーたる落語ですが、その昔はもっとずっとスローだったという話が面白かった。「シーンとした中へ上がっていって座ぶとんへ座り、そこに青銅の火鉢があって湯呑みがある。その湯呑みへお湯をつぎ、それを飲んで、それをおいて、それから初めてお辞儀をして、しゃべりはじめたもんなんですよ」とか、「この人の碁泥なんてえのは、碁をうっているまねをして、三十分くらい口をきかないんですからね。それをお客はシーンとしてだまって見ている」とか。
  • ピシッピシッというなめくじの啼き声、というのは土壁の炭酸カルシウムを摂取している音なんでしょうか。それとも殻がないなめくじは炭酸カルシウムも摂取しないのでしょうか。