冨田均 「聞書き・寄席末広亭−席主北村銀太郎述」

聞書き・寄席末広亭―席主北村銀太郎述 (平凡社ライブラリー)

  • 語り口が流石に素晴らしくて、冒頭から「寄席の芸人てのは、もともとてめえの家じゃ糞も出来ないもんたちの寄せ集まりなんだよ」という痺れる幕開け。
  • 有名な古今亭志ん生の高座で居眠りのエピソードにしても、「なにしろ酔っ払って楽屋に入ってくるんだからね。そこからして違う。で、そのまんま高座に上がってグーグー鼾なんかかいてるんだもん。いませんよ、そんな人は。いくら芸人でも。」と語られると改めて笑ってしまいます。
  • 八代目桂文楽への敬慕、昭和20年代のヒロポン、昔の新宿の佇まい等々、隅から隅まで寄席に対する愛情が充ち満ちていて、これまで読んだ落語本の中でも、実際に聴きたい気持ちにさせるパワーでは図抜けていると思います。
  • もちろん続編も読む予定。購入済み。