マルコムX 「完訳マルコムX自伝(上)(下)」

完訳マルコムX自伝 (上) (中公文庫―BIBLIO20世紀)  完訳マルコムX自伝 (下) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

  • マルコムXもまたヘップキャットでリンディホップで踊りまくっていたと。その割にバップ方面に関する記述が薄いのは逮捕(1946年)前で生活が荒み過ぎていたためか。
  • 逮捕以前のハスラー生活に関する記述(口述)は流石にカラフル。コンクのやり方なんて初めて知りました。
  • ハスラー=hustler=ハッスル(詐取)する人。賭ビリヤード師のみを指す言葉だと思っていました。
  • 改宗後は狂信的な物言いでやや退屈ですが、アレックス・ヘイリーによるエピソードで何とか盛り返して終了。
  • こういう信仰と転向のコントラストの強さこそが、米黒人の置かれた環境の過酷さの現れなのでしょうか。
  • 読書中ずっと、ポスト911時代における読み方について何か思いつくような気がしていましたが、結局何も思いつきませんでした。浅学の極み。
  • 本書の内容とは全然関係ありませんが、パブリック・エネミー「ファイト・ザ・パワー」冒頭のスピーチはマルコムXによるものだと長いこと思いこんでいましたが、この機会に確認してみたところ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアでした(「Yet our best trained, best educated, best equipped, best prepared troops refuse to fight! Matter of fact, it's safe to say that they would rather switch than fight.」)。
  • 後段は「タレイトン(というタバコブランド)を吸う人は、(タバコブランドを)変更するくらいならケンカをする」という当時の有名な雑誌広告のパロディらしいですが、一体どういう文脈なんでしょうか。基本的には非暴力主義のように思うのですが、「ファイト・ザ・パワー」で引用される意味がよく分からない。アイロニー
  • 黙読でも読み終わった瞬間に、頭の中で「ファイト・ザ・パワー」が流れ始めます。