カルヴィン・トムキンズ 「優雅な生活が最高の復讐である」

優雅な生活が最高の復讐である (新潮文庫)

  • 「Living well is the best revenge」というフレーズを本やら曲やらアルバムやらのタイトルでちょくちょく見かけますが、これの出典は何なのかと調べていてぶち当たったのが本書。
  • 趣味が良かったことが強調されていますが、確かに「『ウェザーバード』という名前はルイ・アームストロングのレコードのタイトルからとり、そのレコードをマーフィ夫妻は船の竜骨に嵌めこんだ」というのは選曲から何からもうとんでもなくお洒落で痺れる。
  • とはいえ、見事なまでに好景気時にしか邦訳が出版されていない理由も理解できます。
  • スコット・フィッツジェラルドはここでも強烈な印象を残します。1936年9月の陰鬱極まりないインタビューを再読していると、「大事なのは、なにをするかではなくて、なににこころを傾けるかだとおもっているから、人生のじぶんでつくりあげた部分しか、ぼくには意味がないんだよ」というジェラルド哲学がフィッツジェラルドの琴線に触れたとは素直には信じ難い。
  • 懸案の「Living well is the best revenge」とは、「ジェラルド・マーフィが見つけてきた辛辣なスペインの諺」でした。
  • 大阪教育図書という会社から、岡本紀元という人が訳した「夜はやさし」が最近出版されていますが、4000円という金額と、「あるロマンス」という妙な副題と、センスの感じられないジャケット、の3つを総合的に勘案すると手が出ません。