広沢虎造 「清水次郎長伝−石松と身受山鎌太郎/石松と都鳥一家」

清水次郎長伝/石松と身受山鎌太郎

  • 草津で身受山鎌太郎から預かった「香典の真似事」の百両を、遠州中の町で都鳥三兄弟に貸したら案の定返ってこない、というところまで。
  • 「惜しい蕾は散りたがる」、「泣いて誉められたのは、お前さんと鶯ばっかりだ」、「浮世荒波度胸で渡る」、「片言以て定め難し、片言を聞いて、片言を恨んだ」、「そうか、そんなら算盤がもてらぁ、よせやい」という辺りが痺れる言い回しですが、本巻は他にもお宝フレーズが色々と。
  • 「溜息は命を削る鉋」とは含蓄のある格言。使いたくなります。
  • 何と言っても石松の「俺は何も云わねぇが、新刀鍛冶、池田鬼神丸がものを云うぜ、ギラッと抜くと甘塩の秋刀魚を見るような、光ったものが入っている。サッと横に振るとお前たちの肩のどこかずっと平らになっちまう」という脅しが素敵。
  • 次は「石松と七五郎/閻魔堂の欺し討ち」。 いよいよ石松が死にそうな流れですが、タイトルを見る限り実際に死ぬのはもうちょっと先の様子。