村上春樹 「遠い太鼓」

遠い太鼓 (講談社文庫)

  • 高校生の時分に単行本で読んだ際にはそれ程面白いとも思えなかったので実家に置きっ放しにしていたのですが、2月にローマに行く予定があったため、年末に帰省した際に久々にペラペラと再読。
  • 幸か不幸か「イタリア郵便事情」と「イタリア泥棒事情」を読んでしまったため、軽犯罪の影に怯えつつ2週間ローマに滞在しましたが、特段のトラブルはなくて助かりました。
  • それはともかく、執筆当時の村上春樹の年齢に近付いてきたせいか、俄然面白く感じられたので、帰国後文庫で購入。
  • 当時は食事やクラシックに関する描写がピンと来なかったのか、海外生活が身近に感じられなかったのか、その辺りが理由でしょうか。不機嫌な奥方の生々しい描写に嫌悪感を感じた記憶もあります。
  • 逆に今読むと、村上春樹の語学力に驚きを感じました。英語がペラペラでイタリア語とギリシャ語も出来るという。当時は、歳を取ればそれ位出来るようになるかもと緩く認識していたのかもしれません。
  • 米語に馴染んでいるのでロンドンで意外に苦労した、という印象的なエピソードも全く記憶に残っていませんでした。
  • 全編通して読んでも「イタリア郵便事情」と「イタリア泥棒事情」の2編は格別の印象深さ。それと、キャンティの隠れワイナリーの話も強力に面白かった。