Dennis Wilson 「Pacific Ocean Blue」

パシフィック・オーシャン・ブルー(レガシー・エディション)

  • デニス・ウィルソンというと「ライヴ・アット・ネヴワース・1980」における「ユー・アー・ソー・ビューティフル」の絶唱が印象に残っていますが、逆に言うとそれ以外は特に印象に残っていません。「サンフラワー」で4曲も作曲していたなんて全く意識していませんでした。
  • グループ内唯一のリアル・ビーチボーイというキャラクターがあるにはありましたか。写真を見ていると、ワイルドだけど繊細といった感じの非常に魅力的なルックスです。
  • という程度の認識でしたが、ジャケットが良い感じだったので出来心で購入してみたところ、ベン・エドモンズが「カリフォルニア風白人ゴスペル」と表現した、1曲目の「リヴァー・ソング」が実に泣けるので、じっくり聴き込める時間が出来るのを待っていたところ。
  • 「イッツ・ノット・トゥー・レイト」や「ラヴ・サラウンズ・ミー」もジワッと良いですが、「ヒーズ・ア・バム」がホロッと泣ける。浸みる声質。
  • フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスのヴォーカルを加えた「ホーリー・マン」は、シングルカット用の商売っ気が丸出しで、企画全体に満ちたデニス愛にそぐわないのではないか、と懐疑心を抱きつつ聴きましたがそれ程悪くなかった。
  • 写真も豊富で丁寧なライナー、萩原健太の全曲解説など、愛情溢れる仕事振りが素晴らしいです。どうせメガヒットなんかしないアイテムなんだから、これが正解だと思います。
  • アルバムとしての統一感には欠けるような気もしますが、デニス・ウィルソンの人柄と才能をギュッと詰め込んだような魅惑的な佳品。まさに「いまのぼく、いや、これからのぼくの全てがこの音楽には詰まっている」という感じ。
  • しかし、「デニス・ウィルソンには、誰もあまり期待していなかった」で始まるライナーノートって凄い。