- 「ヨーロッパのオーティス・レディング」等の素材となった1967年3月17日のロンドン公演(フィンズリー・パーク・アストリア)と同21日のパリ公演(オランピア劇場)の音源を可能な限りコンプリートな形に整理・リマスタリングしたもののようです。
- ライナーにあるとおり、確かに「D・O・R・I・S・T・R・O・Y」と叫んでいる偏屈が一人います(ロンドン公演の方のオープニング)。
- ドリス・トロイという人のことはよく知りませんでしたが、アポロ・シアターの案内係をやっているところをジェームズ・ブラウンに見出された人で、ミュージカル「ママ、アイ・ウォント・トゥ・シング」のモデルとのこと。1963年「ジャスト・ワン・ルック」で全米シングル・チャート10位。
- 「ヨーロッパのオーティス・レディング」は若干ヴォーカルがオフ気味(激シャウトしているのに音量が小さい)なのが気になったのですが、こちらは音量バランスが改善されて中々の迫力。オーティス・レディングが1〜2歩前に出た感じ。それと、やはりこちらの方が曲の流れがスムースというか自然な感じはします。
- 「ヨーロッパのオーティス・レディング」は全曲パリ公演の音源のような気がしますが、「リスペクト」の疾走感など、ロンドン公演の方が出来が良いように思います。
- 目当ての「トライ・ア・リトル・テンダネス」におけるサム&デイヴの絡み(両公演)は、途中で微妙に絡んですぐに引っ込んでしまうので違和感を感じましたが、実は今回見付けた別音源を被せただけのようです。なんたる暴挙。
- 「曲のイントロや、レヴューのメンバーが最後の数コーラスを歌っている『トライ・ア・リトル・テンダネス』の2つのヴァージョンは、あちこちのテープ・リールに散らばっていたものを、私たちが完全なテイクにまとめたものである」と訳されていますが、原文は「Tune intros and the two versions of "Try a Little Tenderness" with Revue members singing the last few choruses were found floating on various tape reels and we matched them to takes」なのでややニュアンスが違うように思います。
- フィンズリー・パーク・アストリアというのはアストリアという映画館チェーンのフィンズリー・パーク支店のことで、時折コンサートに使用。1971年から常設のコンサート会場のレインボー・シアターに(オープニング・アクトはザ・フー)。1982年閉鎖。現在は「神の王国世界教会」が所有、宗教儀式に用いられているとのこと。
- 忌野清志郎が裏焼き(左右反転)されたオーティス・レディングの写真を見て左手でマイクを持つようになった、という有名なエピソードがありますが、「ヨーロッパのオーティス・レディング」も本盤も何故かマイクは左手で持っています。裏焼きなんでしょうか。
- ジャケットは「ヨーロッパのオーティス・レディング」の方が格好良かったと思います。