Marvin Gaye 「Recorded Live On Stage」

レコーデッド・ライヴ・オン・ステージ(紙ジャケット仕様)

  • マーヴィン・ゲイ、1963年の初ライヴ・アルバム。SHM−CD+紙ジャケで再発。日本初CD化。
  • キャリアのごく初期、ソウル・シンガー/アイドル・スターとしての自分に違和感を感じながら自身の方向性を模索している頃だと思うのですが、そんな素振りを微塵も感じさせず、黄色い嬌声の中で「スタボン・カインド・オブ・フェロウ」や「ヒッチ・ハイク」を楽しそうに熱唱していて悪くないです。
  • 「酒と薔薇の日々」のような自身の本来の志向であるスタンダードも様になっていれば良いのですが、当時のセールスで証明されているとおり、悲しいかなこれといったスペシャルな魅力は感じられません。
  • 泉山真奈美のライナーによると、この頃はまだステージ恐怖症ではなかったとのことですが、確かにごく普通にパッケージ・ショーを楽しんでこなしている感じです。
  • 特に何がどうという程のアルバムではありませんが、後年の事態に思いを馳せれば、そういう点で非常に趣深いアルバムと言えるかもしれません。
  • という諸行無常な聴き方をしてしまうと、スコット・フィッツジェラルドではありませんが、「人生の残り半分なんて、結局はいろんなものを切り捨てていくための長い道のりにすぎないのだ」という切ない気持ちになりそうですが、若き日のピチピチとした幸福そうな姿を邪念抜きにそのまま堪能すべきなのでしょう。「曲の間奏部分で、親指を上に向けてヒッチ・ハイクをする時のポーズを取り、腰を振りながらバック・ダンサーたちとステージ上をくるくる回りながら踊る」マーヴィン・ゲイの勇姿を想像しながら。